東京高等裁判所 昭和39年(ラ)661号 決定
本件抗告の要旨は、原決定の対象である東京都豊島区巣鴨一丁目五番地二家屋番号同町五番二二木造瓦葺平家建店舖兼住宅一棟建坪一七坪五合(実測一九坪五合)の建物は、件外水野典江の所有に属するもので、東京地方裁判所昭和三九年(ワ)第一〇、六四八号所有権移転登記請求事件で移転登記すべき裁判をうけているから、原決定は取消さるべきものであるというにある。
しかしながら、民事訴訟法第七三三条にもとづく建物収去命令は、既に決定した裁判の執行の方法としてなすものにほかほらないから、このような決定に対する抗告も単にその執行の方法たる手続に付てのかしを理由としてなすべきものである。
本件抗告の理由は、要するに件外水野典江が本件建物収去命令の執行により権利を害せられることを理由とするものにほかならない。しかし斯る異議は右水野から第三者異議の訴によるべきで、執行の方法に対する異議の方法によるべきでない。
また本件建物が抗告人の所有に属しないことを理由にするというなら、これまた実体上の理由によるもので、執行の方法の異議の理由とすることはできないので適法な抗告理由とならない。
(千種 渡辺一 岡田)